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厨房総合カタログ
e-hattori FM放送-食品衛生番組

<操業結果のまとめ>

  1. 酸素富化量とC,Sipickup
    酸素富化量とC,Siの増加量の間には完全な相関関係があり、操業条件の設定によりその増加量が推定出来るようになった。

    C,Siのpickupは、

    1. 酸素富化量の増加に比例して羽口先温度が上昇する。
    2. 炉内の高温化に伴い溶解帯直上でCOの生成が急激に起き、排ガス中のCO濃度が増加する。
    3. その結果として、装入材料の表面酸化が減少し、溶解帯温度の上昇に伴い吸炭量は増加する。また、コークス灰分および耐火物中のSiO2が還元されSi量も増加する。

  2. 排ガス解析
    排ガス中のCO濃度は酸素富化量の増加に伴い増加する。

    1. 炉内でのCOの生成は C+O2=CO2(羽口先−−−溶解帯) CO2+C=2CO(予熱帯) であり、炉内が高温化する程、反応速度が増加しCO濃度が上昇する。
    2. 溶解帯直上での急激なCOの生成による排ガス温度の降下と、酸素富化による排ガス体積の減少によ り 、炉 内の排ガス流速は減少する。
    3. CO濃度の増加と、炉内ガス流速の減少により、排ガス中のSox,NoxはCOにより還元され減少する。

    4. 出湯温度(実測値と理論燃焼温度からの推定)
      下記の計算で示すように、操業条件を設定することにより、出湯温度が推定出来るようになった。

      1. コ−クスの理論燃焼温度の計算
        a.空気送風の場合の燃焼温度 t=1975℃ b.6.7%O2富化時の燃焼温度 t=2200℃
      2. 熱効率の計算
        6.7%O2富化時 QT=3000*0.13*7500=2925000Kcal/hr QM=(1630*0.2+17)*3000=1029000Kcal/hr η=QM/QT*100=35.2% ここで、理論火炎温度の上昇分に熱効率を乗じた分が、出湯温度の上昇に寄与すると考えると、 Δt=(2200-1975)*0.352=79℃ 出湯温度:T=1570+79=1649℃ 出湯温度の実測値は、最高1670℃であり、平均的に1630℃以上が測定されている事より上記計算値と一致する。

    5. 熱精算
      下表に2.5T/Hrキュポラで確認操業を実施した結果からの熱精算を示す。冷風小容量キュポラではあるが、溶解効率は36.4%と非常に高い。 又、排ガス損失が潜熱、顕熱を合計すると約49%と大きく排ガスの熱利用を考慮すれば、さらに熱効率を改善することが可能である。
      操業パラメ−タ−
      コークス比13%灰分7%
      石灰石3%
      送風温度30℃出湯温度1630℃
      鉄皮温度300℃排ガス温度700℃
      炉内壁温度1600℃CO濃度19%
      溶解量3000Kg外気温度30℃
      酸素量2.4m3/分スラグ量150Kg
      空気量25m3/分FeO2%

      熱精算結果
      入熱出熱
      Kcal%Kcal%
      コークス発熱量282784499.9溶湯保有熱102900036.4
      空気顕熱00石灰石分解熱383401.4
      酸化熱27150.1スラグ損失770402.7
      合計2830559100排ガス潜熱41285014.6
      排ガス顕熱94332733.3
      炉体放熱328221.2
      炉体蓄熱1529025.4
      その他1442785.1

      合計2830559100

    6. 溶湯性状

      V−1.溶存ガス量
      CとOの関係
      溶湯中の酸素は低温域ではSiにて還元され、高温域ではCでされる事はΔG0よりの計算でも明かである。 Siの酸化からCの酸化が優先される、反応の移行温度を反応逆転温度とすると、これは低温域で生成したSiO2がCにより還元される反応である。
      SiO2(s)+2[C]=[Si]+2CO(g)
      ΔG0=131300−73.96T
      ここで、溶湯成分C=3.3%,Si=2.0%として反応逆転温度を計算すると
      ΔG0
      logK=−=−28700/T+16.17
      4.575T
      又、 logK=log(Pco2)2・asi/(ac)2(Pco=1atm) =logasi−2logac
      =logfsi+log[Si%]−2(logfc+ log[C%])
      logfsi=esi(si)・[Si%]+esi(c)・[C%] =0.32*2.0+0.24*3.3=1.432
      logfc=ec(c)・[C%]+ec(si)・[Si%] =0.22*3.3+0.1*2.0=0.926
      ∴logK=−1.228
      T=1650K=1377℃
      ここで[C]が増加すればこの温度は更に低下する。
      キュポラ操業に於いて、溶湯温度は反応逆転温度よりも充分に高く、又、高温溶解になれば吸炭量は増加する。溶湯成分の[C]が増加すれば上記の反応は更に活発になり溶湯中の[O]は低下する。
      そこで、溶湯中の酸素濃度を[C]による脱酸をベ−スに計算するとC=3.3%Si=2.0%として [C]+[O]=CO(g)ΔG0=−5300−9.48T
      ΔG0
      logK=−=−1158/T+2.072
      4.575T
      又、 logK=logPco/ac・ao(Pco=1atm)
      =−(logac+logao) =−(logfc+log[C%]+logfo+log[O%])
      logfc=ec(c)[C%]+ec(si)[Si%]+ec(o)[O%]
      logfo=eo(c)[C%]+eo(si)[Si%]+eo(o)[O%]
      ここで[O%]は極小(ppm)であるからこの項は無視する。
      logfc=0.22*3.3+0.1*2.0=0.926
      logfo=-0.44*3.3-0.131*2.0=-1.714
      logK=−0.269−log[O%]
      ここで溶湯温度を1630℃(1903K)とすると
      logK=2.68
      [O%]=0.00112%=11.2ppm
      溶存酸素の分析結果は10〜20ppmであり、計算結果と非常に近似している。通常操業での酸素濃度は30〜40ppmであり、これはFeO、SiO2等の酸化物の溶湯中への顕濁によると考えられている。
      酸素キュポラ溶湯の溶存酸素濃度が低いことは、酸化物の混入が少なく精錬のきいた溶湯であることの証明である。 この実験結果により、従来言われてきた高濃度酸素富化操業(5%以上)は溶湯の酸化を助長するという結果は見いだせず、高濃度酸素富化操業は炉内でのコ−クスの燃焼温度を上昇させ吸炭率を増加し、その結果、炉内高温精錬作用により[O]の少ない清浄な溶湯が得られる溶解法と言える。

      V−2.機械的性質
      別表に示すように、酸素富化率増加時の機械的性質はC,Siが増加しCE値が増加しているにも係わらず、殆ど低下していない。これは、酸素富化率増加により炉内温度が上昇し、溶湯の高温精錬が助長されて不純物の少ない溶湯となり強度が向上したためと考えられる。

    7. 低公害化(実測値とNox,Soxの計算推定)
      コ−クスキュポラの操業において、Nox,Soxの排出は公害規制が厳しい現在では非常に重要な問題である。
      現在実験中の高濃度酸素富化操業では、燃焼帯(羽口先)のコ−クスの燃焼温度は通常操業と比べると2200〜2300℃と非常に高温である。 燃焼温度の高温化により、発生したCO2は燃焼帯上部で瞬時にコ−クスと反応しCOを生成する。これは、7%O2富化での排ガス分析の実測値よりも明かで、通常時の2倍の値である。
      燃焼により生成されるNoxはこの温度域においてはその大半がNOと考えられる。生成したNOは、燃焼帯上部のCOの非常にリッチな帯域を通過する際に還元されてN2に変化し、低Nox化に寄与する事が想定される。
      同様な反応はSoxについても言える。
      従って、高濃度酸素富化操業はコ−クスキュポラの低公害化に対して、非常に有利な操業方法と考えられる。
      ここで、Nox,Soxの排出量(炉内での平衡分圧)について計算推定を行う。
      Nox
      Noxの生成反応は1/2N2+1/2O2=NOであるが、平衡濃度計算に必要なΔG0:標準生成自由エネルギ−が文献等でも見いだす事が出来ない為に、先ず、この反応のΔG0を理論的に導くと、
      ΔG0=ΔHT−TΔST=ΔH0+小0TΔCpdT−T(ΔS0+小0TΔCp/TdT)=21605-3.181T+0.04TlnT−0.08×10−3T2+0.127×10−7T3
      NOのCOによる還元反応は
      1/2N2+1/2O2=NO------(1)
      CO+1/2O2=CO2----------(2)
      ΔG0=-67300+20.75T
      ここで、(1)式+(2)式
      CO+NO=CO2+1/2N2
      ΔG0=-45695+17.57T+0.04TlnT−0.08×10−3T2+0.127×10−7T3 Pco2
      logK=log+1/2logPN2−logPNO Pco
      7%O2富化の場合
      排ガス分析値より、Pco2=0.115,Pco=0.20,PN2=0.685atm
      logK=-0.322-logNO
      又、
      logK=−ΔG0/4.575T
      T=1000℃として
      logK=3.96
      従って、-0.322-logNO=3.96
      logNO=-4.282
      NO=5.22×10-5=52.2ppm
      通常キュポラ操業の場合
      排ガス組成は、Pco2=0.115,Pco=0.12,PN2=0.765
      logK=-0.077-logPNO
      又、
      logK=−ΔG0/4.575TT=1000℃として =3.96 従って、-0.077-logPNO=3.96
      logNO=-4.037
      NO=9.19×10−5=91.9ppm
      Sox
      炉内で生成したSO2は、COにより還元される。その平衡分圧は次の式で計算出来る。
      1/2S2+O2=SO2ΔG0=-86525+17.25T-----(1)
      2CO+O2=2CO2ΔG0=-134600+41.5T-----(2)
      (2)式-(1)式
      2CO+SO2=1/2S2+2CO2ΔG0=-48075+24.25T
      (Pco2)2Pco2
      logK=log=2log-logPso2
      (Pco)2・Pso2Pco
      logK=−ΔG0/4.575T
      7%O2富化の場合
      排ガス分析値よりPco2=0.115,Pco=0.20T=1000℃として、 logK=-0.48−logPso2 又、logK=2.95
      Pso2=3.71×10−4=371ppm
      通常操業の場合
      排ガス組成はPco2=0.115,Pco=0.12
      logK=-0.037−logPso2
      logK=2.95
      Pso2=1.03×10−3=1030ppm
      SO2の発生量
      コ−クス比:13%コ−クスのS=0.60%
      出湯量=3000kg/hr溶湯のSpickup=0.045%
      排ガス中のS=TotalS−固溶S(スラグ中のSは無視)
      =3000*0.13*0.61/100−3000*0.045/100 =1.029Kg 送風量空気24.7m3/分*60=1482m3/hr
      酸素2.37m3/分*60=142.2m3/hr
      排ガス量C+O2=CO2CO2+C=2CO
      N2=1482*0.79=1170.78m3
      CO=(1482*.21+142.2)*2=906.84m3
      合計2077.62m3
      S+O2=SO2S=32
      SO2=2077.62/32*22.4*64/32=2908.67=2.90867m3
      SO2濃度
      2.90867/2077.62*106=1400ppm
      この数値は、実際はスラグへ移行する分があるので平衡計算値の1030ppmと非常に近似しており計算推定は妥当である。

    8. 他炉との溶解コスト比較
      別表に溶解コストの比較表を示す。
      酸素使用によるコスト増の分は、Si歩留まりの向上及び使用コ−クスの低減により通常キュポラの操業コストと大差ない。
      コスト上現れていないコストメリットとして以下の様な事が考えられる。
      1. 低品位コ−クスの使用によるコストダウン。
      2. 既設のままでの溶解能力増加による生産性向上。
      3. 出湯温度上昇による小型キュポラ単独でのFCDの製造。
      4. 溶湯清浄度向上による不良率の低下。


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