カタログでは伝わらない調理機器のこと─回転釜と自動調理機を体験する場
服部工業・中部エリアでは、 回転釜や自動調理機を「実際に見て、触れて、味わって感じていただく」体験型...
小山 真依
人手不足は、もはや一時的な課題ではありません。
飲食サービス、宿泊施設の厨房、スーパーの惣菜売場など、食を提供する現場では、「人が集まらない」「育つ前に辞めてしまう」という状況が常態化しています。
一方で、現場の仕事そのものが減っているわけではありません。
仕込みや加熱、攪拌、盛り付けといった工程は日々繰り返され、むしろ求められる品質や安全基準は年々高まっています。
結果として、限られた人数に負担が集中し、「続けられる厨房」を維持することが難しくなっているのが実情です。
こうした中で、近年あらためて問われているのが、「厨房の生産性とは何か」という考え方です。
単に作業を早めることでも、人を減らすことでもありません。
人が無理なく働き続けられる状態を、仕組みとしてどう支えるか。
そのために、どの工程を見直し、どこを標準化すべきか。
本コラムでは、人手不足時代の厨房改革をテーマに、現場改善の基本から、設備・技術を活用した自動化の考え方までを整理します。
特定の業態や製品の比較を目的とするものではなく、「いまの厨房を、これからも回し続けるために何を考えるべきか」を判断するための材料としてお読みください。
厨房の生産性は、「時間当たりの調理量」「品質のブレの少なさ」「作業負担の分散」という3つの軸で捉えることができます。
単に早く作るだけではなく、品質・安全性・提供タイミングを含めた総合的な効率が求められます。
これらを指標として数値で追うことで、改善の進捗を可視化できます。
生産性向上の基礎は、人の動きや作業手順、段取りを見直すことにあります。
5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)や標準作業の整備は、属人的な動きや無駄な手戻りを減らし、労働時間を短縮する土台となります。
実際に作業を行うスタッフの動きや負担を踏まえた改善と、継続的な見直しが鍵です。
受発注・在庫・シフト管理などのデジタルツール(POS連携、在庫管理システム等)の導入は、煩雑なルーティン作業を削減し、誤差や重複作業を防ぎます。
厨房だけでなく、バックオフィスまで含めた業務の可視化が、生産性向上の第二段階です。
省力化投資として、自動調理機や盛り付けロボットなどの導入は、特に繁忙時間帯に発生しやすいボトルネック工程を補完する手段の一つです。
これらは単なる時短ツールではなく、調理工程の標準化や作業の安定化、属人性の軽減といった観点から捉える必要があります。
実際、農林水産省と厚生労働省が共同で整理している
「省力化投資促進プラン(飲食業)」では、飲食業における人手不足と低い労働生産性を構造的な課題と捉え、設備やデジタル技術を活用した業務プロセス全体の再設計が重要であると示されています。
同資料では、調理や盛り付け、店舗管理など各工程を通じて、ITや省力化機器を活用した生産性向上の考え方が整理されています。
もっとも、自動化は導入すれば即座に効果が出るものではありません。
実運用では、対象工程の選定や現場との適合、運用ルールの整理など、事前の検討が成果を左右します。
次章では、こうした前提を踏まえながら、自動化を取り巻く技術動向と、厨房運営の考え方がどのように変わりつつあるのかを整理します。
※出典:農林水産省・厚生労働省「省力化投資促進プラン―飲食業―」
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自動化や省力化に関する取り組みについては、すでに一部の現場で変化が現れています。
人手不足の深刻化だけでなく、調理品質の安定や業務の標準化といった観点から、調理ロボットやAIを活用した仕組みの導入は、国内外で着実に広がっています。
こうした動きは、単なる設備更新や効率化にとどまらず、厨房運営の考え方そのものを見直す流れとも言えます。
人の役割と仕組みの役割をどう分けるか。
その選択が、これからの厨房運営における重要なテーマになりつつあります。
本章では、人手不足や属人化が進む厨房において、自動調理機・調理ロボットの導入によって、どのような変化が起きたのかを整理します。
調理工程の効率化や品質の安定、安全性への影響などについて、導入事例をもとに、資料の内容を抜粋する形で紹介します。
導入メリット5選
成功事例(概要)
実際の導入現場では、調理工程の進め方を見直す中で、調理時間の短縮や人員配置・コスト構造の再検討につながった例が報告されています。
ある食品加工の現場では、同じ量を調理する工程において、作業時間を最大で80%以上短縮した事例もあります。
より具体的な成果や導入事例を判断材料として整理した資料を、下記よりご覧いただけます。
《自動調理機・調理ロボット導入メリット5選と導入事例》
人手不足や属人化が進む中、調理工程の標準化や再現性をどう確保するかは、多くの現場で共通の課題となっています。
服部工業のロボット回転釜OMNI(オムニ)は、
そうした課題に対して、調理工程を仕組みとして支えるという考え方を提示する調理ロボットです。
OMNIの考え方や活用イメージについては、以下のページで整理しています。
▼業務用調理ロボットOMNI ピックアップページ(仕様・活用例・導入事例を掲載)