飲食店開業で後悔しないために ~厨房設備選びが成功を左右する理由~
飲食店を開業する際、多くの方が立地や内装、メニュー開発に力を入れます。しかし、実際にオープンしてから...
松野 亜衣子
そこで近年注目されているのが、ロボットや自動化設備を活用した「厨房DX」や「省人化」です。
では実際に、厨房の現場ではどのような課題が起きていて、どのような自動化が進んでいるのでしょうか。
今回は、人手不足時代に求められる“これからの厨房づくり”についてご紹介します。
近年、給食施設やセントラルキッチン、食品工場、飲食店など、さまざまな厨房現場で人手不足が深刻化しています。
特に大量調理の現場では、高温環境での長時間作業、重量物の運搬、つきっきりでの攪拌作業など、身体的負担の大きい業務が多く存在しています。
さらに、人員不足によって一人あたりの業務量や責任も増え、現場では精神的な負担も高まりやすくなっています。
近年は外国人スタッフや未経験スタッフなど、多様な人材が現場を支える時代へ変化しているため、「誰でも働きやすい厨房環境づくり」がこれまで以上に重要視されるようになっています。
また、ベテランスタッフに技術や作業が集中する“属人化”も大きな課題です。
「この人がいないと現場が回らない」という状況は、今後さらに大きなリスクになっていくと考えられています。
こうした課題への対策として、近年注目されているのが「厨房DX」や「調理自動化」です。
厨房DXとは、ロボットやIoT機器、データ管理などを活用し、厨房運営を効率化・標準化していく取り組みを指します。
例えば、自動攪拌機能付き回転釜や調理ロボットでは、これまでスタッフがつきっきりで行っていた攪拌作業、温度管理、調味投入などを自動化することができます。
近年では、給食センターやセントラルキッチンを中心に、自動化設備を導入するケースも増えており、「人を減らす」のではなく、「少人数でも安定して回る厨房」を目指す考え方へ変化しています。
大量調理の現場で進んでいる「省人化」とは、単純に人数を削減することではありません。
負担の大きい作業を機械がサポートすることで、スタッフの身体的・精神的負担を軽減し、人が本来集中すべき仕事へ時間を使えるようにすることが目的です。
例えば、
などが進んでいます。
これにより、現場では盛り付けや最終確認、衛生管理、利用者対応など、より付加価値の高い業務へ集中しやすくなります。
また、調理工程の標準化によって、「誰が作っても同じ品質」を維持しやすくなる点も大きなメリットです。
厨房自動化には、さまざまなメリットがあります。
特に近年は、「忙しくても品質を落とさない厨房づくり」が求められており、自動化設備による標準化の重要性が高まっています。
一方で、「機械化=無人化」と誤解されることもあります。
しかし実際には、人にしかできない判断や最終調整、盛り付け、サービスなども多く存在しています。
そのため、これからの厨房づくりでは、「機械に任せる部分」と「人が担う部分」を整理し、役割分担を最適化していくことが重要になります。
これからの厨房に求められるのは、単なる「省人化」ではありません。
スタッフが安心して長く働き続けられる環境を整えながら、品質や衛生を維持し続けられる厨房づくりが重要になっています。
特に、給食施設やセントラルキッチンなど大量調理の現場では、「頑張り続ける厨房」ではなく、「安定して回り続ける厨房」が求められる時代へ変化しています。
「機械にできることは機械に、人にしかできないことは人が。」
その考え方が、これからの厨房づくりの新しいスタンダードになっていくのかもしれません。